京都大学「エコ~るど京大」を取材しました。

取材の感想

 「エコ~るど京大」に参加し、プロジェクトの企画や実施に携わった学生さんたちは、在学中にものすごく成長するのだろうと感じました。多くの人にSDGsを知ってもらい、暮らしや事業活動に取り入れてもらうため、学生だけでなく、京都市や企業とも議論を重ね、協力を引き出す経験は、はかりしれない成長をもたらすものと感じます。

取材日時 20201020日(火)10:3012:00
訪問先  京都大学(京都市左京区吉田本町)地球環境学堂学生室
対応者  浅利美鈴さん(京都大学地球環境学堂准教授)、奥野真木保さん(京都大学3回生)
取材   堀 孝弘(京都市ごみ減量推進会議)

まず、エコ~るど京大って何?

エコ~るど京大とは、学生と教職員の有志が主体のネットワーク。多くの人が楽しく考え、参加できる企画を通じて「持続可能なキャンパス」の実現を目指しています。学生に限らず社会人や小中高校生、など様々な世代を巻き込んだ活動を展開しています。
活動資金の大部分は、プロジェクトごとに助成金を獲得したり、企業から協賛金を得ることで賄っていて、参加メンバーから会費は取っていません。事務局は京都大学環境科学センター内にあります。

どのような活動をしているの?

始まりは2013年。当時京都大学環境科学センター助教(現・地球環境学堂准教授)の浅利美鈴さんのイニシアティブで始動しました。浅利さんは、京都市ごみ減の別企画「コロナ共生社会のライフスタイルでも紹介させていただきましたが、イベント・プロジェクトの企画力、実行力、困難な局面での突破力を兼ね備えた人です。

SDGsを多くの知ってもらうことを目的に、学生や他の共感してくれた教員さん、さらには協力してくれる企業などが集い、6月の環境月間を中心に、次々とおもしろい企画を生み出しています。2020年度はコロナウィルス感染症の影響で、大勢で集ってのミーティング開催が難しい状況のもと、それでも10前後のプロジェクトが動いています。その中には数年にわたって継続され、商品開発に結びついたものや、その時々の社会課題に応じて短期集中で行われるもの、とにかくやって、調べて、次の課題に発展していくものなどがあります。

動かしているのはどんな人たち?

これだけのプロジェクトを15人前後のコアメンバーで動かしています。エコ~るど京大に集う学生は、学部も専攻もそれぞれ違います。コアメンバーがそれぞれのプロジェクトのリーダーを務め、スタッフ集めや実施に向けた準備、必要なものの手配などを進めていきます。当然1人でプロジェクトを動かすことはできませんので、他のスタッフとの協力や作業の割り振り、社会人や企業の人たちなど普段接しない人たちからの協力の引き出しなどの経験が、メンバーたちの人間的成長やスキルアップに大きく寄与しています。
しかし、エコ~るど京大で、どれだけ活動しても成績には全く反映しません。それでも関わった学生さんに大きな成長機会をもたらしているようです。コアメンバーの1人、奥野さんにお話を伺いました。

コアメンバー奥野さんのお話!

私はもともと高校生の時から、環境問題やSDGsに関心がありました。自宅近くに里山がある地域で育ったため、持続可能な森林の利用などに関心があり、農学部に入学しました。ただ、エコ~るど京大に参加したくて、京都大学に入学したのではなく、その存在も知りませんでした。入学後、たまたまエコ~るど京大のパンフレットを見て「おもしろそう」と思い、イベントやミーティングに参加しました。

エコ~るど京大に参加して、出会うはずのない人たちと出会うことができ、環境問題を考えるうえでも、いろんな立場の人が考える異なる観点を知ることができました。イベントを考えるにあたっても、どうしたら多くの人にSDGsをわかりやすく伝えることができるか、自分たちのメッセージに関心をもってもらえるかなど、深く考えることができました。こういったことは、これからの自身の研究にもおおいに活かすことができると思います。持続可能な森林利用や人との関わり、管理の在り方など、どれも困難な課題であるだけに、様々な立場の人の考えや意見を知ることは大切だと思います。
エコ~るど京大のミーティングは、上級生や社会人の意見が尊重されるようなことはなく、全員フラットな立場で参加し意見を出しあいます。いろんな人たちと議論したことで何かを成し遂げた経験は、これからも大事にしていきます。まだ学生生活が続いているので、達成感は実感としてありませんが、これまでの大学生活で後悔というものはありません。

奥野さんのような人たちが社会に出ていくことで、少しずつ社会が変わっていくのではないか、そのようなことを感じました。

 

以上