京都SKYセンターの「京都SKYシニア大学」を取材しました。

京都SKYセンター「京都SKYシニア大学」

取材者の印象
 最初は「お客さん」のような気持ちで参加していた人が、やがて「コース員」として他の受講者のお世話を通じて、主体的に関わるようになるといった事例が多く生まれています。また修了者が自発的に「同窓会」をつくり、コースの企画、講師選定、運営を担当するなど、当初なかったことが実現しています。

《取材日》   2018.9.18
《主催団体》 公益財団法人京都SKYセンター(京都市中京区 https://www.kyoto-sky.net/
《事業名》   京都SKYシニア大学

《受講者数(直近)》 約650人(各学期)
《実施講座数》 年1回 各学期170人

《事業目的》 シニア・高齢者の「仲間づくり」「健康・生きがいづくり」を支援し、地域活動の担い手となる人材を養成することを目的に実施している。

《主な対象 及び 概要》
 通年制のシニア大学で,「文化・観光・歴史」「スポーツ・健康」など8コースあり,全受講者が参加する「共通コース」を含めて9コースある。「環境」だけを取り上げたコースはない。全コース合わせた講座数は170を超える。

 70歳代前半までの人が多く,男女比はほぼ半々。年間約650人の応募がある。リピーターが多く,2018年後期講座の場合,67割がリピーターだった。

 広報は開講前に集中して行っている。法人会員や公的機関での配架,新聞折り込みは全紙を対象にしている。広報に係る費用は200万円ほど。ただし,会員・修了者による口コミの効果が最も大きい。

 受講当初はお客さんのような態度の人もいる。リピーターを含めて,新規受講者の中からも「コース員」になってくれる人を810人程度募り,コース運営に参加してもらい,お客さんから主体的な立場での関わりに変わってもらっている。

 修了者が自発的に「同窓会」をつくり,1つのコースを担当してもらうことがある(例・寺社仏閣巡り)。コース員の中から運営委員になった人もいて,講師の選定から企画まで協力してもらっている。このようなことは当初なかった。

 同窓研修生が500人ほどいて,事務局と受講者の橋渡しをてくれている。この人たちから理事や運営委員を委嘱している(活動費1.5万円/年)。

 受講当初,尖った人もリピーターやコース員,運営委員らにもまれていく中で,自己成長している。自分で得たものを活かす場としてサークルがある。現在80のサークルができている。自身の楽しみだけでなく,高齢者施設等への慰問活動などをボラティアとして実施しているサークルもある。このようなところが民間のカルチャースクールとの違いである。

《成果》

・参加者の自発性は生まれていますか。
 修了者が自発的に「同窓会」をつくったことがきっかけで、コースを担当し講師の選定から企画まで協力している。コース員がシニア大学の運営委員にもなっている。

・参加者に協調性は生まれていますか。
 受講当初,尖った人もリピーターやコース員(受講者から募る),運営委員らにもまれていく中で,自己成長し受け身から成長している。自分で得たものを活かす場としてサークルがある。

・活動スキルの習得はどうでしょうか。
 各コースの企画,講師の選定,連絡,交渉の他,講座開催時の受付などの準備,司会等の労力協力をコース員や運営委員らが担い運営

・参加された方の活動は継続していますか。
 「自分個人が市長から委嘱を受けている」という意識が,継続した活動や研鑽・情報収集のモチベーションの維持,向上につながるのか,他市事例を含め更なる情報収集と検証が必要と思われる。

・体系的な学びを意識したカリキュラムになっていますか。
 NSCNext Stage Challenge)コースは、文化・教養的な講座ではなく,これからの高齢化社会で必要な予防医学や介護など,健康長寿に関する知識・技術を,主体的に地域で活かす人材養成を目的にしている。他のコースより講座数も多く(受講費も高い),募集定員を絞っている。

・新たな人材発掘は。
 リピーターを含めて,新規受講者の中からも「コース員」になってくれる人を8~10人程度募り,彼らの協力を得てコース運営をしている。リピーターと一緒にコース運営に参加してもらうことで,お客さんから主体的な立場での関わりに変わっていってもらっている。

・その他
 自身の楽しみだけでなく,高齢者施設等への慰問活動などをボラティア活動として実施しているサークルもある。