京都府地球温暖化防止活動推進センター「京都府地球温暖化防止活動推進員研修」
取材の印象
京都府地球温暖化防止活動推進員の活動は、地球温暖化に関する講座や省エネ実践講習など、従来からありそうなものだけでなく、農家さんや漁師さん、社員食堂でもできる活動まで、発想が豊かで、かつそれぞの仕事に密接した地道さがあります。「教える」というスタンスでないところが素敵です。
《取材日》 2018年12月27日
《主催団体》京都府地球温暖化防止活動推進センター(京都市中京区https://www.kcfca.or.jp/)
《事業名》 京都府地球温暖化防止活動推進員研修
《実施講座数》 全体研修は3回 他に,プロジェクトごとに研修している。
《事業目的》 センターの目的である「低炭素型のステキな京都の実現」のための3つの柱として、以下に取り組んでいる。
<1>担い手のサポート
<2>モデル事例づくり
<3>対策の面的展開
その一環として,府から委嘱された京都府地球温暖化防止活動推進員(以下,推進員)に,必要な情報とスキルの提供を目的として実施している。
《主な対象 及び 概要》 推進員は研修を受けてから認証され推進員になるのではなく,推進員になってから研修を受ける。全体研修としてセンターが京都府内で年3回程度の連続講座を行っている。連続講座以外に,プロジェクト別の研修を折に触れてやっている。推進員さんたちが「教える」というのではなく,地元の人たちと一緒に温暖化防止を進めていくというスタンスがいいと考えている。地域での活動を広めるためには,「あんたら」「あなたたち」でなく,「私たち」で広めていくことが大事。だが,そういった意識を醸成していくのは難しかった。
活動内容のほとんどは環境教育であるが,本当にやりたいことは地域づくり。「低炭素型の地域を作る活動」を「低炭素型の暮らし方を広める活動」の上に置いている。実際にやっていることとしては,農家さんであればバイオディーゼル燃料を農機具に使用する,企業であれば社内食堂に地産地消になるような食材を使用する,魚屋さんが出前授業の際に魚のさばき方を伝えるだけでなく,同時に地球温暖化について話す,など。
地域で活動する場の設定をするところまでセンターが担うのは厳しい。地域での場づくりまで含めて推進員にお願いすることになる。推進員になるルートとしては①自分で希望②市町村の推薦の二つがある。各地域に何人という縛りはなく,小さい村でも2人程度の確保を目指している。推進員の任期は2年で再任は妨げない。縛りがなくやっており,まったく活動をしていない人は別として,何らかの研修や活動をしている人であればいいということにしている。
推進員は全員で300人ほどいる。すでに知識や実践経験のある人が次の活動場所として推進員となっている。京都府からは事業の効果を求められる。「数字でわかる!京都の温暖化防止活動推進委員」のようなパンフレットにしている。大きな指標になっているのは,推進員がどんな活動をどのくらいしたのかということ。2017年の推進員が約300人で活動数が2,500回以上。この活動は自身のための勉強会などではなくて,外向けの活動のみカウントしている。ただ,報告を提出できていない人もいるので,本当はもっと多いと認識している。他都道府県のセンターと共通の評価指標はないが,京都府は全国で見ても推進員の活動量は多いし,予算当たりの活動量は比ではない。
《成果》
・参加者の自発性は生まれていますか。
京都府地球温暖化防止推進員は研修を受けてから推進員になるのではなく、推進員になってから研修を受ける。それほど関心が高くなかった人でも活動を進めるうち地域の活動に熱心になる。
センターと推進員が現場で一緒に活動することを重視している。小学校の出前授業でも推進員と一緒にやるが、次第にセンターの役割は用済みになり、推進員だけで出前授業をやるようになる。
・活動スキルの習得はどうでしょうか。
全体研修としてセンターが京都府内で年3回程度の連続講座を行っている。その際には単調な講義形式ではなくワークショップ形式にしている。
プロジェクト実施では、地球温暖化防止推進員が「実録自然エネルギーのある暮らし」と題した冊子を作成した。それぞれの地域で活動する推進員が、地域で自然エネルギー機器を使用している方に取材をして事例集としてまとめたもの。この冊子を作るにあたって、インタビューの仕方講座、記事のまとめ方などの研修をした。
・新たな人材発掘は。
地域によっては、推進員が次の推進員を声掛けするという風に、推進員が推進活動をやってくれている。
・地域への広がり
地域で活動する場の設定をするところまでセンターが担うのは厳しい。地域での場づくりまで含めて推進員が担う。
うまくいっている地域では市役所との連携がしっかりとれている。活動の場としての地域協議会を設置し、市役所と推進員がしっかり話して活動が進む。主体性のある地域だと自分たちでどんどん進めるため、センターはそのサポートが役割。