報告その4 各売り場の結果と好事例

青果物売り場以外の調査結果の報告

2022年11月に京都市内で実施したスーパー調査のうち、報告その1で、調査の概要、その2その3で、青果物売り場の調査結果をお伝えしました。
今回は、青果物売り場以外のプラ包装の調査結果をお伝えします。以下、店頭から順に報告します(以下は、2023年3月1日「好事例報告会」の資料から)。

店頭での資源回収箱の種類

(調査票の一部を掲載します。調査票と写真はクリックすると拡大します。以下、同じ)

プラスチックに限らず、自社で販売した容器(資源)等の回収も重要と考え、資源回収ボックスの設置状況を調べました。

62店中設置なしは7店で、55店が資源回収ボックスを設置していました。その全店で食品トレーを回収していました。かつては「白色トレーのみ」を回収対象にしている店もありましたが、すべて「色の区別なし」で回収していました。続いて牛乳パックが54店、ペットボトルが35店、アルミ缶14店と続き、スチール缶は、2店舗(1チェーン)のみ回収していました。

フレスコ修学院店では、ペットボトル1本につき0.3円分を、寄付先4候補から選択できる回収箱を設置していました。

その他の回収品目では、京都生協(6店)のたまごパックの他、エムジー鞍馬口店、西賀茂店、フレンドマート梅津店、マツヤ三条店で、段ボール、新聞紙、雑誌等の回収ステーションが設置されていました(投入量に応じてポイントが提供される)。

入口付近  「おいしい水の供給器」の設置状況

「水の供給機」があることで、ペットボトル入り飲料水の利用抑制につながると考え、店内での設置状況を調べました。

62店中27店で設置され(1店はウォーターサーバー)、うち22店が無料での提供でした。無料提供の店舗のうち20店では専用タンクの購入が必要でした。他、会員登録が必要など何らかの条件付きで利用可能でした。誰でも利用できる「リフィル・スポット」として利用できるスーパーは、今回の調査では見つかりませんでした。


調査に先立って行った本社ヒアリングでは、複数の企業から「かつては設置していたが、メンテナンスにコストがかかり撤去した」や「今後減らしていく方向にある」などの声を聞きました。

また、かつては、水の売上金から一定額を地元の公益団体に寄付していた店舗もありましたが、本社に確認したところ、「収益がなく、今では寄付は行っていない」とのことでした。

 

 

精肉・鮮魚・惣菜売場      トレイ・ラップ以外の売り方の有無

精肉売場

発泡トレーを使わない売り方に注目しました。スーパー店舗内に対面式販売のコーナーがあり(テナントの場合でもレジが共通であれば調査対象としました)、発泡トレーではなく竹皮または紙包装を用いている店が、確認できただけで8店ありました(ただし、それをプラ製袋に入れて渡す店舗がほとんどでした)。他、ノートレー鶏肉を扱っている店舗が18店ありました。

鮮魚売場

精肉売場と同様に、発泡トレーを使わない販売方法に注目しました。トングで生魚等を必要量購入できる販売方法は62店中17店で確認できました。最も多かった店では7種の品揃えがありました(万代西小路五条店)。鮭の切り身の無包装販売は、フレスコとフレンドマート(平和堂)で確認しました。フレスコでは鮭切り身のラップ包装販売もありました。
さらには、お客さんが持ち込んだ皿に刺身を調理・盛り付けしてくれる店舗が8店(4チェーン)ありました。ただし、店頭のポップ等で「持ち込み皿への盛り付けをします」の案内をしていない店もありました。持ち込んだ魚の調理をしてくれる店も3店(1チェーン)ありました。

総菜売場

総菜売場では、できるだけプラスチックを使わない、プラスチックの減量につながる売り方を探しました。
各社、総菜売場の商品の充実を進めていますが、そのなかで起きたコロナ禍により、天ぷら等、一品ずつプラ包装する店が多くなりました。今回の調査では「大きくプラスチックの削減につながる」という取組は見つかりませんでした。

その中で、マツモトの総菜持ち帰り用袋を紹介します。袋の前半分はプラスチックですが、後ろは紙製です。箱型のプラスチック製ケースより、減プラにつながると思います。

乾物・菓子・調味料売場   はかり売り、バラ売り等の有無

ドライフルーツやシリアル、菓子などで、必要量購入できるはかり売り・ばら売りの有無について調べました。

特色のある売り方として食品スーパーマーケット以外で、少しずつ広まりつつありますが、今回対象とした店舗の中では、コープ(京都生協)山科新十条店(右写真)でのみ実施が確認できました。ただし同店の場合、購入したドライフルーツ等を入れる容器は、プラスチック製でした。

 他、京都生協各店で、たまごのバラ売り(1つずつ買える)を実施していました。

 

京都市内では、斗々屋(河原町通丸太町上る)、Zero Waste Kyoto(寺町通丸太町下る)、無印良品(北大路店など)が、シリアルや菓子のはかり売りを採り入れています。

飲料売場     店頭の給水器の設置やペットボトル飲料以外の選択肢の訴求

ペットボトル飲料の販売抑制ではなく、「消費者の飲料入手の選択肢を広げる」という視点で販売方法や店頭での訴求に注目しました。
飲料売場に「店頭に水の供給機が設置されている」ことを案内している店はありませんでした。
ペットボトル飲料の冷蔵棚のすぐ横に、同種の粉末飲料が売られている店として20店の報告がありました。その中で、マツモト洛南店の飲料売場には、粉末飲料に「無理なく便利にプラスチック削減」のポップ掲示がありました。メーカー作成のポップですが、他店で見たことがなく、同店でのみ掲示を確認しました。

ダイエー桂南店は、ペットボトル緑茶売場の向かいに、日本茶の茶葉の販売コーナーを設置していました。緑茶(茶葉)の消費が年々減り、ペットボトル緑茶の消費が増えるなか、お客さんの選択肢を広める売り方として注目しました。

日用品売場     詰め替え袋商品の訴求など

洗剤等の売場で、プラスチック削減につながる売り方を調べました。ボトル入り商品と詰め替え包装商品の単価比較表示(10mlあたり〇円など)の有無を調べところ、半数以上の36店で実施していました。

ただし、いずれの場合も価格表示の文字が小さく(中には全く読めないぐらい小さな字もありました)、また全品ではなく一部の商品のみに表示がある場合もありました。消費者にとってわかりづらくなっていて、今回の調査で、単価表示について「好事例」と呼べる取組は見つかりませんでした。

「洗剤のはかり売り」および「洗剤等空きボトルの回収箱」は、いずれも確認できませんでした。

また、近年、「詰め替え」といっても「袋」ではなく、ボトル状になっている商品が増えていて、プラスチックの削減効果がほとんど期待できなくなっていることにも気づかされました。

サッカー台    ロール状ポリ袋の適正利用の呼びかけ掲示の有無

サッカー台(レジ精算後、お客さんが自分の袋等に商品を入れるための台)のロール状ポリ袋の適正利用の呼びかけについて調べました。

適正利用の呼びかけポップは、京都生協とフレスコの店舗で確認できました。ただし、両チェーンとも調査時は全店ではなく、掲示していない店舗もありました。

サッカー台に新聞紙で作った袋を置いている店

エムジー嵯峨車折店では、サッカー台のロール状ポリ袋の横に、新聞紙を適当なサイズに裁断して置いていました。土もの野菜などの持ち帰り用に店舗で用意しているものです。ひと昔前、多くの店で見かけた光景ですが、近年見ることがなくなり、今回の調査で唯一見つけました。

ロール状ポリ袋がない店 

サッカー台にロール状ポリ袋を設置していないチェーンが1社ありました(サンディ)。水物等を入れるのに袋等が必要と思うお客さんには、ポリ袋の替わりになる袋等を持参してもらっています。同チェーンはレジ袋の削減にも早くから取り組み、京都市との協定以前から自主的に有料化を実施していました。省包装に対するお客さんの理解を得た成果と思われます。

店員さんが袋詰めする店

一方、サッカー台そのものがないチェーンが2社(3店)ありました。両チェーンでは、レジにレジ係の他、袋詰めの店員を配置し、お客さんの買い物バッグ(または同社ロゴ入り袋)に商品を入れていました。その際、商品の多くをポリ袋に入れてから、お客さんの買い物バッグに入れていました。

調査項目以外の取組

新たなリユースシステムの開発と提案

今回の調査項目ではありませんが、イオンリテールが開発したLOOPシステムは新たなリユースの仕組みづくりの取組として注目しました。

詳しくは、右のURLをご覧ください。 https://www.aeonretail.jp/campaign/loop/

食品ロス削減のフードドライブの取組

多くの店舗が食品ロス削減のため、賞味期限が近い商品の値引きコーナーを設けるなどの取組をしていました。その中で、フードバンク(フードドライブ)への協力とともに、支援を受けた人の声を掲示している店もありました。

賞味期限が近い商品などを割引販売する「食品ロス削減コーナー」を設置している店


この他にも、省エネ事例など、多くの好事例が見つかりました。それらは次回報告いたします。