取材の感想
地域の小中学校、幼稚園、保育園(以下、学校)と信頼関係を築き、学校現場と打ち合わせを重ね、ニーズを聞き出したうえで、環境学習を実践しています。環境学習はひとつの手段。地元を愛し、地域の環境を大切にする人を育むことを目的に取り組んでいます。
取材日時 2020年10月16日(金)13:20~15:30
訪問先 公益財団法人亀岡市環境事業公社(亀岡市大井町)
対応者 塩尻知己さん(理事長)、上田賢さん、橋本麻里さん
取材 堀 孝弘(京都市ごみ減量推進会議)
始まりは2014年
亀岡市は市街地周辺に多くの自然が残り、盆地と周囲の山がひとつの世界を構成しています。亀岡市環境事業公社は亀岡市内の家庭ごみ等の収集作業に携わる法人。市民のごみ減量意識や行動が定着すれば、皮肉なことに公社の仕事は減ります。人口減少もあり、ごみも減ってきましたが、大切なことは、ふるさとを愛する心、環境を大切にする人を育むこと。そのような人を増やす仕事はますます必要との思いから、2014年から、市内の学校への環境学習に取り組むことになりました。
地元で培ってきた信頼
地元の団体のメリットとして、地域で培ってきた信頼があります。学校教員さんと幾度も打ち合わせをすることができ、学校側のニーズを丁寧にくみあげることができます。環境学習で用いる用語が子どもたちに通じるか、教員さんから教えてもらっています。
環境学習の基本コンテンツはあっても、実際には学校ごとのオーダーメイド。学校によっては、環境学習よりも食育に力を入れているなど、方針や取組は様々ですが、福祉と環境、農業と環境など、環境問題を広い視野からとらえ、学校のニーズに適うようにしています。多くの団体はなかなかここまで学校との打ち合わせを繰り返すことができないと思います。
小学校に限れば、亀岡市内には18の小学校があります(1校は小中一貫校)。昨年度(2019)は、ごみ処理場見学時の学習や幼稚園、保育園も含めて46回の授業を実施しました。うち出前授業は26回です。全受講者は2,115人になりました。
亀岡市のレジ袋禁止宣言後
今年3月のレジ袋禁止条例採択以降、亀岡市の環境の取組が全国的に注目を集めました。環境学習の機会も増えましたが、レジ袋の良し悪しはわざわざ取り上げていません。レジ袋禁止条例までの経緯や今後の取組などは行政による環境学習もありますので、学校のニーズによってはそちらを紹介することもあります。
保津川の川ごみ問題も全国的な注目を集めていますが、亀岡市は保津川沿いの地域だけではありません。保津川の川ごみ問題を学びたい学校には、NPO法人プロジェクト保津川さんの活動を紹介しています。
めざすものは
亀岡市は住宅都市としての性格が強く、仕事や学業のため、ほとんどの若者が一度は亀岡市を出ます。外の町で働くにしても、いつか生まれ育った亀岡に戻ってきてもらいたいですし、地域の自然・環境を大切にする活動に携わってもらいたい、そんなふるさと愛、地元愛をもった人を育みたいと思っています。
実際の環境学習の現場に参加させてもらいました。
2020年10月16日午後、亀岡市立南つつじヶ丘小学校で行われた環境学習の現場に参加させてもらいました。
対象は同校の5年生全員50数名です。前半の環境学習の後、後半は新聞紙でエコバッグづくりの作業を行いました。
前半の学習で、ごみが増えていること、減らすことの必要性、どのようなところから減らすことができるか学ぶので、後半のワークにつながります。「子どもたちにわかるかな」と思った単語もありましたが、後で「事前に担当の先生と打ち合わせて、どこまでの言葉なら、小学5年生で理解できるか確認している」と聞いて納得しました。
後半の作業は、実際にものを作るので動きがあります。できあがった時の達成感も味わえます。早く作業ができた生徒が遅れ気味な生徒に教えている光景もあり、子ども同士の助け合いも見られました。新聞紙とはいえ、子どもたちが作業しやすいように同じサイズにしておいたり、作業手順を書いたペーパーを用意したり、準備にかなりの手をかけていることも感じました。
そういった姿勢が先生方からのリピートにつながっていると感じました。
以上