海外輸出に頼るPETボトルリサイクル
(図をクリックしてもらうと拡大します)
国内で回収されたプラスチックが、国内で処理・リサイクルされているのではなく、海外に「輸出」されている分があることを伝えてきました(「プラごみ輸出」参照)。
そのことはPETボトルも例外ではありません。2019年度18万2千トンの回収PETボトルが輸出されていましたが、過去およそ10年ほど、毎年20万トン前後の輸出が続いていました。
四半世紀で大きく増えたPETボトル。今や全プラスチックごみの7%ほどをPETボトルが占めるほどになれました。これだけ増えたPETボトルですので「生活必需品」のように思う人もいますが、消費の中身を見ると、決してそうではありません。PETボトルの消費の実態についてお知らせします。
PET樹脂の需要のほとんどが、清涼飲料の容器であることをお伝えしました。では、他の容器と比べて、清涼飲料容器の中でPETボトルはどのような位置付けなのでしょうか。
下のグラフを見ていたたせくと一目瞭然。PETボトルの1人勝ちです。PET樹脂といえば清涼飲料。清涼飲料といえばPETボトル。そんなことがいえるかと思います。
図をクリックしてもらうと拡大します。
データ出典:全国清涼飲料工業会「清涼飲料水関係統計資料」より
2019年度に日本国内から発生したプラスチックごみの内訳を示しています。
「2019年度プラごみの内訳」で示したグラフに、同じ年度のPET樹脂の需要量(生産等に必要な量)を重ねてみました。PET樹脂の90%近くが清涼飲料の容器として使われています。廃プラ全体から見れば、PET樹脂の需要量は7.8%を占めるにすぎませんが、他の用途をみると、例えば71万トンを占める「家庭用品等」は、衣類や家具、おもちゃなど種種雑多な製品の合計で、材質はプラスチックとはいっても、複合材を含めて様々な材質が使われています。
その中で、単一の材質で、ほぼ単一の用途(飲料容器)に使われるPET樹脂は、削減効果の大きさが期待できます。仮にPETボトルを2割削減できれば、プラごみ全体の1.5%減らすことができます。
PETボトルリサイクル推進協議会の資料をもとに作成しました。この図を見て「回収率やリサイクル率はこんなに高いんだ」と感じることもできますが、たった四半世紀(25年)で消費量が4倍に増えていることも見落とせません。
図をクリックすると拡大します。