海外輸出に頼るPETボトルリサイクル
(図をクリックしてもらうと拡大します)
国内で回収されたプラスチックが、国内で処理・リサイクルされているのではなく、海外に「輸出」されている分があることを伝えてきました(「プラごみ輸出」参照)。
そのことはPETボトルも例外ではありません。2019年度18万2千トンの回収PETボトルが輸出されていましたが、過去およそ10年ほど、毎年20万トン前後の輸出が続いていました。
2017年の中国の廃プラ禁輸宣言は、日本から大量の廃プラスチックが海外に輸出されていることを多くの人に気付かせました。2018年以降、量こそ減りましたが、今もおもに途上国に向け廃プラ輸出は続いています。長く「資源」と称して輸出されてきましたが、中には「ごみ」としか見れないものもあります。どこに、どれほど、私たちの国から廃プラが輸出されているのでしょうか。
2018年の中国の廃プラ(原則)禁輸以降、日本から出る廃プラは量こそ減りましたが、行き先を変えて、おもに途上国に輸出されています。もともと最大の輸出先の中国は、プラスチックごみの海洋流出が世界最大と指摘されていた国注)ですが、今の輸出先上位に位置するマレーシア、ベトナム、タイ、インドネシアなどの国々もプラごみ海洋流出の多い国といわれています。
なお、プラごみの中には、生産ロスなどもあり、先進工業国・地域にもプラごみは輸出されています。
注) Jenna R. Jambeckらの調査による
日本をはじめ世界最大の廃プラ輸入国だった中国は、2017年7月、同年末をもって海外からの廃プラ、廃家電、古紙の輸入を原則禁止することを宣言しました。それまで毎年100万トン以上の廃プラを中国に輸出していた日本は、2018年に入って行き場を失った廃プラが国内に滞留し、大きなニュースになりました。ただし、廃プラ輸出そのものがなくなったのではなく、行き先を他の国・地域に求め、今も年間80万トン程度の廃プラが海外に輸出されています。
プラごみ排出量と輸出量の合わせグラフ(2軸グラフ)
プラスチックごみの発生状況と、海外への輸出量を同じグラフに表してみました。棒グラフはプラごみ発生量で、折線グラフは海外輸出量です。それぞれの単位が違いますのでご注意ください。プラごみ発生量は1980年代から2000年頃にかけて急増していますが、プラごみ輸出は2000年以降急増しています。
廃プラの輸出推移とその時代に起きたトピック
プラスチックくずの海外輸出量を、財務省の貿易統計をもとに調べたデータをグラフ化しました。
グラフに社会状況を書き足しました。プラスチックリサイクル制度が整備された後、特に2000年以降、海外輸出量も増加し、最盛期には169万トン以上の廃プラが外国に輸出されていました。