【ハイムーン先生の環境漫画の説明】
今回の絵には深いテーマが込められています。ハイムーン氏の環境漫画はホノボノとしたものや、日常生活の中で見落としていることを、「はっ」と気づかせてくれるものが多く、そのため多くのファンを得ています。ただ、それだけでなく、政策の不備や事業活動の問題などに踏み込んだものもあり、そういった警告を「さりげなく」発してらっしゃるところに、ハイムーン漫画の奥深い価値や魅力があります。
環境漫画家ハイムーン氏(前京エコロジーセンター館長)の環境漫画から、環境問題を学びます。漫画に込められた思いや背景の環境情報を、ごみ減スタッフ堀が作成したグラフを用いて紹介します。グラフは「続きを読む」をクリックしていただくと出てきます。
今回の絵には深いテーマが込められています。ハイムーン氏の環境漫画はホノボノとしたものや、日常生活の中で見落としていることを、「はっ」と気づかせてくれるものが多く、そのため多くのファンを得ています。ただ、それだけでなく、政策の不備や事業活動の問題などに踏み込んだものもあり、そういった警告を「さりげなく」発してらっしゃるところに、ハイムーン漫画の奥深い価値や魅力があります。
京都市ごみ減量推進会議は2016年秋から「リーフ茶の普及で、ペットボトルを減らそうキャンペーン」に取り組んでいます。この絵は、そんなごみ減にハイムーン氏が描き下ろしてくださったものです。手軽で便利、魅力的な商品の多いペットボトル飲料ですが、一方、普及しすぎて「お茶を淹れることができない人」、「スーパーやコンビニで売られているボトル入り茶しか知らない人」が現れています。
茶葉から淹れた緑茶には、ペットボトル緑茶にはない特徴があります。特に煎茶は、一煎目、二煎目、三煎目へと、味や香りが変わっていきます。この特徴はペットボトル緑茶では絶対に再現できません。淹れた後の茶葉も「食べる」「脱臭剤」など様々な活用方法があります。たまには、ゆっくりお茶を淹れる時間を持ちたいものです。
図をクリックすると拡大します。 【ハイムーン先生の環境漫画の説明】 ・ハイムーン先生がイギリスで環境漫画展を開催された時、この絵も出展されました。ハイムーン先生は「この絵の意味がイギリス人に伝わるかな」と心配されたそう … 続きを読む
水の中の生き物たちが「われわれのことも考えてくれよ!」と叫んでいます。日本の耕地面積あたりの農薬使用量は世界トップクラス、下水道未整備地域での合併浄化槽の普及率もまだまだです。
とはいえ人間は、川の水が汚れても高度浄水施設(イオン浄化など)できれいにした水や、外国や山奥の渓流から運んできたボトル入りの水を飲むことができます。「自然志向」という言葉は広がりましたが、自然から切り離された生活を送っている姿がこのようなところからも見えてきます。
【ハイムーン先生の環境漫画の説明】
プラスチックごみによる海洋汚染の深刻さが大きく注目されるようになったのは、2016年1月スイス国内で開催されたダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)からでした。この時、いくつかの衝撃的な報告があり、その一つに「2050年には海の魚の重量より、海水中のプラスチックの方が大きくなる」というものがありました。
ただし、プラスチックごみによる海洋汚染と生態系への悪影響は、ハイムーン氏をはじめ多くの人がダボス会議よりずっと以前から警鐘を鳴らしていました。ハイムーン氏がこの絵を描かれたのはおよそ20年前。その当時、今ほど海洋プラスチック問題が深刻になり、大きな注目を集めるとは思っていなかったと述懐されています。プラスチックには簡単に分解しない、腐らないという特徴があります。メリットのはずのこの特徴は、環境中に排出された後も、いつまでも残り続けるというデメリットにもなります。
2017年7月、中国政府は2017年末をもって外国からの廃プラ、廃家電、古紙などの固形廃棄物の輸入を原則禁止すると宣言しました。日本はそれまで毎年100万トン以上の廃プラを海外に「輸出」していて、その大部分が中国向けでした。中国が引き受けてくれなくなった分、別の受け入れ国を探すか、プラスチックとの付き合い方を変えるか、私たちの社会のあり方が問われました。
地球温暖化や気候変動の将来予測について、近年スーパーコンピューターの活用などで予測精度が高まっています。一方、今でも懐疑的な主張をしている人もいます。そんな人たちに納得してもらうのはたいへんなことです。ただ、漫画のように「予測したとおりだ」となった時は、もはや手遅れです。「予防原則」で動くことの大切さをこの漫画は伝えています。
また、これもよく知られている通り、地球温暖化といっても単純に暖かくなるわけではありません。国際的には「気候変動」がよく使われます。高温や少雨により干ばつが頻発する地域がある一方、集中豪雨や冷夏、暖冬、豪雪など、各地で異常気象が常態化しています。
かつて、日本は物づくりの国でした。しかし、現在の日本では多くの製品は海外で生産されたものを使っています。そして、ごみにしています。いまや、物づくりは、お隣中国や東南アジアの国々が担っています。皮肉なことに、日本で発生した廃棄物がそれらの国に輸出され製品の原材料となって循環しています。まるで、「物づくり」と「ごみづくり」を役割分担しているようです。
巷では「循環型社会の構築」や、「資源を大切」にと、リサイクルが盛んになっていますが、一方では100円ショップやディスカウントショップが次々と出来て、安さゆえに使い捨てられる品物があふれています。循環型社会に矛盾する動きですね。
「元栓を閉めた方が早道なんじゃない」と対をなす漫画です。「アルミ缶はリサイクルの優等生」「ペットボトルもリサイクルできる」「トレーも、牛乳パックも、スチール缶も…」と次々とリサイクルできるからと使い捨て製品が市場に出回りました。結果的には大リサイクル社会が形成されだけで、資源の浪費に歯止めがかかりません。リサイクルだけでは廃棄物問題の根本的な解決にはならないことを示した漫画です。