【ハイムーン先生の環境漫画の説明】
水の中の生き物たちが「われわれのことも考えてくれよ!」と叫んでいます。日本の耕地面積あたりの農薬使用量は世界トップクラス、下水道未整備地域での合併浄化槽の普及率もまだまだです。
とはいえ人間は、川の水が汚れても高度浄水施設(イオン浄化など)できれいにした水や、外国や山奥の渓流から運んできたボトル入りの水を飲むことができます。「自然志向」という言葉は広がりましたが、自然から切り離された生活を送っている姿がこのようなところからも見えてきます。
【グラフの説明と背景情報】
ミネラルウォーター類の消費が伸びていることは、多くの人が感じてらっしゃると思いますが、あらためてグラフで見ると増加ペースに驚かされます。初めて家庭用のミネラルウォーターが発売されたのは1983年の「六甲のおいしい水(ハウス食品)」でした。当時は「お金を出してボトルに入った水を買う」ことに抵抗を感じる人も多く、ミネラルウォーター市場はすぐには成長せず、1980年代はわずかな伸びしか示しませんでした。
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1990年代に入ると、外国産ミネラルウォーター類が増え始め、1995年は20万klに達しました。この量は国産も含めたミネラルウォーター類販売量の30%を占め、中には500ml以下の小型ペットボトルで販売されるものもありました。当時、市町村リサイクル担当者や市民団体の「ペットボトルリサイクルの仕組みが整っていない」という声を受け、国内飲料メーカーは小型ペットボトル入り商品の販売を自主的に規制していました。
外国産小型ペットボトル入り商品の増加が続くなか、1995年に容器包装リサイクル法が制定(施行は1997年、プラ製容器包装は2000年)され、1996年に国内飲料メーカーは小型ペットボトル入り商品の自主規制を撤廃しました。その後は国内飲料メーカーの品揃えも増え、ご覧の通り、右肩あがりで増え続けました。2019年現在の国産ミネラルウォーター類の生産量は364万kl。輸入が36万kl。計約400万kl消費されていて、その91.6%がペットボトルで販売されています。
ちなみに、京都市上下水道局のWEBサイトには、水道水とペットボトル入りミネラルウォーターの価格差として、「水道水10リットル1.3円。ミネラルウォーター10リットル510円、400倍の差がある」と紹介されています。
また、一万人の市民を対象に、京都市の水道水、国産ミネラルウォーター、外国産ミネラルウォーターの三種で「利き水(飲み比べ)」調査(銘柄を伏せて)を行ったところ、「一番おいしかったもの」として、京都市の水道水が1位になったと報告しています。他、水道水とペットボトル入りミネラルウォーターの環境負荷(CO2換算)なども紹介されています。
データ等の出典
ミネラルウォーター類の生産及び輸入データ
(一社)日本ミネラルウォーター協会 統計資料 ミネラルウォーター類 国産、輸入の推移https://minekyo.net/publics/index/5/
ペットボトルでの販売割合
2020年版清涼飲料水関係統計資料「清涼飲料水品目別容器別シェア2019」より
水道水とペットボトル入りミネラルウォーターの価格差
京都市上下水道局 水道なんでもQ&A
https://www.city.kyoto.lg.jp/suido/page/0000006815.html
「利き水(飲み比べ)」の調査と結果と、CO2の差https://www.city.kyoto.lg.jp/suido/page/0000168343.html
京都市上下水道局 水質基準等
https://www.city.kyoto.lg.jp/suido/page/0000157870.html
水道水とミネラルウォーター類の水質検査項目と基準の違いは東京都水道局WEBで紹介されています。https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/suigen/topic/12.html
WEBサイトはいずれも2020年7月17日最終閲覧