ハイムーン漫画から学ぶ環境問題10「お茶の時間」

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【ハイムーン先生の環境漫画の説明】

ハイムーン先生がイギリスで環境漫画展を開催された時、この絵も出展されました。ハイムーン先生は「この絵の意味がイギリス人に伝わるかな」と心配されたそうですが、最も多くの人だかりができたのが、この絵のまわりだったそうです。ティータイムを大切にするイギリス人には、この絵の伝えたい思いがよく伝わったようです。文化を超えて思いが伝わるところが、漫画のすぐれたところだと思います。

【グラフの説明と背景情報】

折れ線のオレンジは茶葉(荒茶)の国内消費量。緑は緑茶飲料を表しています(それぞれ単位が違いますので増減の傾向を見てください)
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緑茶飲料とは液体で販売されている緑茶のことで、かつては缶入りや紙パックもありましたが、今では約97%がペットボトルで販売されていて、事実上「緑茶飲料=ペットボトル緑茶」です。また麦茶や玄米茶などは「その他茶系飲料」といって、別カテゴリーになるので、緑茶飲料には含まれていません。

緑茶飲料は昔から多く販売されていたわけでなく、1990年代以降、特に2000年以降急拡大しました。緑茶飲料の消費が増え始めた頃、茶農家をはじめ茶生産に関係する人たちの中に「茶葉の消費も増える」との期待もありましたが、決してそんな単純なものでないことがわかります。茶葉の生産は減って、増えているのはペットボトル緑茶ばかり。ハイムーン先生の漫画のように、「お茶=ペットボトルに入ったもの」と思う人も増えていることでしょう。ある意味、文化の喪失でもあります。

グラフ注

「緑茶消費量全体」には、 ペットボトル緑茶生産用の茶葉が含まれる。
「緑茶消費量全体」には、麦茶やブレンド茶、ウーロン茶など、他の茶系飲料は含まない。

データ出典

茶葉(荒茶)の生産量は、農水省 令和元年産作物統計(普通作物・飼料作物・工芸農作物)より。
茶葉の輸出入量は、財務省貿易統計 農林水産物輸出入統計より。
緑茶飲料は、清涼飲料水関係統計資料各年度版「(一般社団法人)全国清涼飲料連合会」より。
緑茶飲料のペットボトルでの供給割合も、上記統計資料より。 作図堀 孝弘