【ハイムーン先生の環境漫画の説明】
プラスチックごみによる海洋汚染の深刻さが大きく注目されるようになったのは、2016年1月スイス国内で開催されたダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)からでした。この時、いくつかの衝撃的な報告があり、その一つに「2050年には海の魚の重量より、海水中のプラスチックの方が大きくなる」というものがありました。
ただし、プラスチックごみによる海洋汚染と生態系への悪影響は、ハイムーン氏をはじめ多くの人がダボス会議よりずっと以前から警鐘を鳴らしていました。ハイムーン氏がこの絵を描かれたのはおよそ20年前。その当時、今ほど海洋プラスチック問題が深刻になり、大きな注目を集めるとは思っていなかったと述懐されています。プラスチックには簡単に分解しない、腐らないという特徴があります。メリットのはずのこの特徴は、環境中に排出された後も、いつまでも残り続けるというデメリットにもなります。
【表の説明と背景情報】
今回は表をお示しします。左は2015年にジャンベックという研究者らのチームが、プラスチックごみの海洋流出量(データ2010年)を試算し発表した論文から、その上位10カ国と流出量(幅があります)を表したものです。右は日本からのプラごみ輸出先上位10カ国と輸出量を表しています。データは2017年のもので、中国による輸入規制が強化される前のデータです。
赤字は左の表で「プラごみ海洋流出上位10カ国」に入っている国です。日本から「輸出」したプラごみがそのまま海洋流出しているわけではありませんが、海洋流出の多い国(廃棄物管理が不十分な国)にたくさんのプラごみを「輸出」していたことがわかります。
データの出典
左の表 海洋プラスチックごみ流出量の元データ
Plastic waste inputs from land into the ocean Science2015
Jenna R. Jambeckらの研究による。発表は2015年(データは2010年、推計値)。
右の表 プラごみ輸出先の元データ
財務省貿易統計 普通貿易統計 品別国別表 輸出財務省貿易統計 普通貿易統計品別国別表 輸出より
(9桁の統計品目番号のうち、頭4桁3915が「プラスチックくず」のデータ)
上記統計では、「プラスチックごみ」ではなく、「プラスチックくず」と表記されている。
この中には、工場の生産工程で出た素性のはっきりしたプラスチックも含まれている。http://www.customs.go.jp/toukei/info/tsdl.htm 2020年10月1日確認