【ハイムーン先生の環境漫画の説明】
地球温暖化や気候変動の将来予測について、近年スーパーコンピューターの活用などで予測精度が高まっています。一方、今でも懐疑的な主張をしている人もいます。そんな人たちに納得してもらうのはたいへんなことです。ただ、漫画のように「予測したとおりだ」となった時は、もはや手遅れです。「予防原則」で動くことの大切さをこの漫画は伝えています。
また、これもよく知られている通り、地球温暖化といっても単純に暖かくなるわけではありません。国際的には「気候変動」がよく使われます。高温や少雨により干ばつが頻発する地域がある一方、集中豪雨や冷夏、暖冬、豪雪など、各地で異常気象が常態化しています。
《グラフの解説と背景情報》
今回のグラフは、見てもらって楽しいものではありません。
気象庁は全国のアメダスによる雨量観測データを公開しています。そのデータをもとに、1時間あたり50mm以上の降水の年間発生回数をグラフにしました(図1)※1。うち80mm以上は青く着色しています。よくデータの増減傾向を示すのに、「最小2乗法」という計算に基づく「回帰直線」が引かれているグラフがあります。今のエクセルはこういうことも自動でやってくれるようですが、図2は5年ごとのデータをまとめて作り直しました。この方が、はっきりと増加傾向がわかると思います。
《ニュースで流れる「数字」を実感してもらうために》
さて、最近悲しいことに気象災害のニュースがよく流れます。ニュースで「1時間あたり○mm以上の雨」という表現がされる場合がありますが、気象庁は1時間あたり50mmの雨を「非常に激しい雨」「滝のように降る」と表現し、80mm以上を「猛烈な雨」「息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖をおぼえる」と表現しています。いずれも「傘はまったく役に立たない」としています※2。
雨の表現だけでなく、「1時間あたり50mmの雨量」には重要な意味があります。多くの都市が、「1時間あたり50mm」の雨量を基準に排水設備を設計しています※3。つまりこれ以上の雨が降ると、排水が追い付かず、都市のどこかでマンホールから水が噴き出したり、浸水被害が発生する可能性が高まります。2020年の九州地方での豪雨では、6月27日未明福岡県久留米市で「1時間あたり92mm」の雨が降りました。
もうひとつ、雨量の見方ですが、「○○地方の今後1日の予想雨量300mm」などのニュースがあります。たとえば京都市の年間降水量は1,500mm弱。京都市の雨に置き換えると、1年の雨の5分の1が1日で降る計算です。2020年7月の豪雨でも、気象庁から「7月6日18時までの24時間予想雨量、四国地方300mm、九州地方250mm」という気象情報が流れました。これだけの雨が降ると、各所で災害が起きる可能性が高まります。